クリプトニンジャラノベ

「くりバン!〜クリプトニンジャ★ガールズバンド物語〜」

第1話「ログイン!クリプトニンジャの世界へ」

2031年、第7世代通信システム7Gの登場により、世界中のインターネット環境が劇的に進化した。

その波に乗り、仮想世界メタバースを構築する「シノビグラス」が開発された。

そして、このシノビグラスと相性抜群なのが、全世界50億ダウンロードを突破した大ヒットゲーム「クリプトニンジャオンライン」だ。

「はぁ…」

ため息と共に、私――シャオラン(16歳)は、教室の窓から外を眺めていた。

甲賀高等学校の制服姿で、ぼんやりと空を見上げる。

隣の席で、クラスメイトたちがキャッキャと笑い合っている。

(またわたし、一人ぼっち…)

「ねぇねぇ、『クリプトニンジャオンライン』やってる?」
「うん!7Gのおかげで超快適だよね!」

その言葉に、シャオランの耳がピクリと動く。

(今日こそは…!)

放課後、急いで帰宅したシャオラン。玄関で靴を脱ぎ捨て、二階の自分の部屋へ駆け上がる。

「ただいま〜」
「おかえり。急いでどうしたの?」

母の声も聞こえないふりをして、部屋に飛び込む。そこには、ついに手に入れた憧れの「シノビグラス」が待っていた。ベッドの上には、大切なパンダのぬいぐるみ「リーリー」が座っている。

(よし、行くわよ!リーリーも一緒ね!)

深呼吸をして、シノビグラスを装着。リーリーを抱きしめながら、手が少し震えている。

「忍びます!」

合言葉を口にすると、目の前の風景が一変。普段の自分の部屋が、古めかしい和風の建物に変わった。

窓の外には幻想的な庭園が広がり、桜の花びらが舞っている。

そして、驚いたことに抱きしめていたリーリーが、小さな忍者パンダに変身していた!

リーリー:「シャオラン、いっしょにがんばろか!」

「わぁ…リーリー、喋れるの!?しかも関西弁!?」

驚きの声を上げる間もなく、システムの声が響く。

「新米忍者よ、君に与えられた最初の任務は、仲間を見つけ、共に修行することだ」

シャオランは、緊張しながらも期待に胸を膨らませ、仮想世界を歩き始めた。すると、突如現れた元気な女の子。

「やっほー!新人さん?私もつい最近始めたんだ〜。一緒に冒険しない?」

「あ、はい!お願いします!」

慌てて返事をする私。現実世界では、こんな風に気軽に話しかけられることはないのに。

「よろしくね〜!私はあんね。伊賀高等学校の1年生だよ!」

お団子ヘアがトレードマークの、笑顔が眩しい女の子だった。その笑顔に、思わずこちらも頬が緩む。

そこへ、涼しげな声が聞こえてきた。

「あら、新人さんたち?そのミッション、攻略法があるわよ」

振り返ると、クールビューティーな雰囲気を漂わせる女の子が立っていた。

「私はこはく。風魔女子学園の2年生よ」

(風魔女子!?あの超お嬢様学校の…!?)

驚きを隠せない私たちに、こはくは少し照れた様子で続けた。

「ゲームの中ではみんな平等よ。さ、一緒にがんばりましょ」

そして最後に、おずおずとした声。

「あの…私も仲間に入れてもらえますか?」

振り返ると、おとなしそうな雰囲気の女の子が立っていた。

「私はなぎさ。雑賀高校の1年生です」

「もちろん!一緒にがんばりましょう!」

こうして、思いがけず4人のチームが結成された。個性豊かなメンバーとの突然の出会いに、心が躍る。

リーリー:「みんな、仲良くなれてよかったやん!」

あんね:「わぁ!そのパンダ、喋れるの!?かわいい〜!」

こはく:「面白いわね。お助けキャラクターってやつかしら」

なぎさ:「素敵…」

シャオラン:(みんな、リーリーのことも受け入れてくれる…)

「よーし、じゃあ早速ミッションに行こう!」

あんねの掛け声で、私たちは最初のミッション「妖怪退治」に向かった。

巨大な鬼が村を襲っている。私たちは息を合わせて戦う。

あんね:「えいっ!」手裏剣を投げる。
こはく:「氷遁の術!」鬼の足を凍らせる。
なぎさ:「みんな、こっち!」安全な場所へ誘導。
シャオラン:「う、うわぁぁ!」思わず転んでしまう。

リーリー:「シャオラン、大丈夫やか?」
「ご、ごめん…リーリー」

恥ずかしさで顔が真っ赤になる。でも、みんな優しく手を差し伸べてくれる。

こはく「大丈夫、みんな最初は慣れないものよ」
あんね「そうそう!私なんて、最初の日に木から落ちちゃったんだから!」
なぎさ「一緒に頑張りましょう」

温かい言葉に、胸が熱くなる。

(こんな風に励まされるの…初めて)

新たな勇気を得て、再び立ち上がる私。

「行くよ、みんな!リーリー、応援よろしく!」

リーリー:「任せとき!」

4人とリーリーの力を合わせ、見事に鬼を退治。村人たちから喝采を浴びる。

ミッションクリア後、システムからのお知らせが。

システム:「おめでとう!君たちは『音霊の楽器』を手に入れました。これらの楽器は、特別な力を秘めているようです…」

あんね:「わぁ!なんだろう、この楽器?」

こはく:「興味深いわね…これから色々な可能性が広がりそう」

なぎさ:「みんなで一緒に、この楽器の秘密を探っていけたら…」

シャオラン:「うん!絶対に面白いことが起きそう!」

リーリー:「ウチも楽しみやわ〜!」

システムの説明によると、シャオランはギターとマイク、あんねはドラム、こはくはベース、なぎさはエレキギターを手に入れたという。

「ねえ、これって…バンドが組めるんじゃない?」シャオランが興奮気味に言う。

「そうね!私たち、運命的かも!」あんねが目を輝かせる。

「面白そうね。やってみましょう」こはくも珍しく積極的だ。

「わたしも…がんばります」なぎさも小さく頷いた。

そして数日後、ゲーム内のお知らせで衝撃的な情報を目にする。

「ニンジャフェスティバル、通称ニンフェス開催決定!バンドでの参加者募集中!」

4人は顔を見合わせ、笑みがこぼれる。

「私たち…出場する?」

「もちろん!」

リーリー:「めっちゃ盛り上がってきたやん!」

こうして、「くりバン」の物語が幕を開けた。

ゲーム内のスタジオで練習を重ね、時には現実世界での学校生活の話で盛り上がりながら、4人の絆は日に日に深まっていく。

ニンフェスまでの道のりは長いが、4人の目は既に輝いていた。

シャオラン:(現実の学校では孤独だった私だけど、ここでは…)

「みんな、これからよろしく!ニンフェス、頑張ろうね!」

リーリー:「よっしゃ!一緒に頑張ろうや!」

5人の声が重なり、新たな冒険の幕が上がった。

その夜、シャオランは興奮冷めやらぬまま布団に潜り込んだ。リーリーを抱きしめながら。

(明日が待ち遠しい…これから、どんな音楽が生まれるんだろう)

リーリー:「ウチも楽しみやわ〜。明日もよろしゅう頼むで〜」

現実世界ではまだ見ぬ友人たちと、バーチャル世界で紡ぐ絆。そして、関西弁でしゃべる特別な仲間リーリー。

謎に包まれた音霊の楽器。そして、目標となったニンフェス。この物語は、まだ始まったばかり。

…つづく

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