ごきげんマッスル💪こたすけです。
今日は、皆さんに素晴らしいプロジェクトをご紹介したいと思います。
それは、障がいを持つ兄弟姉妹がいる"きょうだい児"に贈る絵本「ぼくだってとくべつ」プロジェクトです。
このプロジェクトは、「ヒトデ」こと平野拓哉さんが立ち上げました。
重い病気や障がいを持つ兄弟姉妹である「きょうだい児」にのみスポットを当てた絵本を、より多くの「きょうだい」たちに届けることが目的です。
きょうだい児とは?
まず、「きょうだい児」という言葉をご存知でしょうか?
これは、障がいや病気を持った子どもの兄弟姉妹を指す言葉です。
関係者以外にはあまり馴染みがないかもしれません。
実際、平野さん自身も当事者でありながら、成人するまでこの言葉を知らなかったそうです。
障がいのある子どもがいる家庭では、どうしてもその子に手間がかかることが多くなります。
しかし、親のリソースは限られています。
結果として、きょうだいの優先順位が下がり、両親の関心も障がいのある子に多く向けられがちです。
このような環境で育つきょうだい児は、以下の4つのパターンに分類されるといわれています:
- 過剰適応:「両親が大変そうだし、自分が頑張らなきゃ!」
- 代理達成:「きょうだいができないから、自分が肩代わりして頑張らなきゃ!」
- 回避:「とにかくきょうだいと関わりたくない」
- 注目要求:「きょうだいは俺にとって凄い重荷なんだぞ!気づいて!!」(暴れる)
つまり、きょうだい児は子供らしい子供ではなく、少し歪んだ成長をすることが多いのです。
平野さんの経験
平野さん自身も、4つ下の弟がダウン症という障がいを持つ「きょうだい児」です。
平野さんは「過剰適応」と「代理達成」の傾向があったそうです。
率先して弟の面倒を見ていたとのことです。
「お兄ちゃんだから」
「お姉ちゃんだから」
そんな言葉をよく言われていたと思います。
誇らしさと息苦しさ、その両方を感じていたそうです。
平野さんの両親は読書をしない人でしたが、ダウン症の弟が産まれてから、たくさんの本が家に置かれるようになりました。
小学生の時、平野さんはその中の1冊を偶然手に取りました。
それは「ダウン症の家族を持つ人達が、その子についてどう思っているか」という文章を集めた本でした。
その中には「きょうだい」の項目もありました。
同じ境遇の子の話が読めるのかと期待してページをめくったら、こんなことが書いてありました。
「○○ちゃんがいるおかげで私の一家は1つになっています」
「○○くんはかけがえのない存在です。大切です」
「妹が障がいを持っていたおかげで、周りのお兄ちゃんよりも立派になれました」
「〇〇は普通とは違うけど、おかげで毎日が新鮮で楽しいです」
小学生の平野さんは、1人でひっそり絶望をしました。
書いてある事はきっと正しいし、自分だってそう思う事はあります。
大切な弟だし、大切な家族だし、かけがえのない存在だと思う。
でも、それだけではない。そんなキレイな話ばかりではない感情が自分にはありました。
- 自分をもっと見てほしいとか
- 自分をもっと認めてほしいとか
- 自分をもっと肯定してほしいとか
- 自分をもっとわかってほしいとか
- 自分を1番にしてほしいとか
- いっそのこと逃げ出したいとか
- 将来どうすればいいのか不安だとか
- もう弟の事で我慢したくないとか
- 強がりは辛いとか
- 頑張らないといけないのは辛いとか
そういうのがあるだろうと、そう思わずにはいられませんでした。
当時の平野さんは「お父さんとお母さんも"僕が弟についてこんな風にしか思ってない"と思っていたらどうしよう……」と子供ながらに悩みました。
そして、「どうせ自分の苦しみなんて誰にもわからない」と他者との一線を引くことに繋がってしまいました。
この体験は、多くのきょうだい児が抱える複雑な感情を表しています。
転機
それから10年以上経って、平野さんは運よくはじめて自分と同じ境遇の「きょうだい児」と出会うことができました。
そこで色々な話をする中で、「自分だけじゃないんだ」という強い安堵感を覚えました。
目の前の問題が解決したわけではありません。
けれども、そうやって自分の辛さや大変さを、本当に「わかってもらえた」時、とても嬉しかったし、救われた気がしたそうです。
この経験が、「ぼくだってとくべつ」プロジェクトの原点となっています。
「ぼくだってとくべつ」プロジェクトについて
この絵本「ぼくだってとくべつ」は、障がいを持って生まれた本人のためでもなく、そのご両親のためでもありません。
「きょうだい」のためだけに作られました。
この本で伝えたいメッセージは2つだけです。
- 君だって特別
- 君は1人じゃない
多くのきょうだい児は、特に幼少期に「大変なのは、自分じゃなくて、お母さんやお父さん、そして本人たちだ」と考えがちです。
きょうだいは特別だから、仕方ない。
手間がかかるのも、自分が面倒を見るのも、両親の興味関心が向くのも仕方ないと。
でも、それは君が特別じゃないことには繋がりません。
確かに、君のきょうだいは特別かもしれません。
でも、君だって特別なのです。
そんな当たり前のことが、わからなくなってしまう前に、きちんと伝えてあげたい。
それが平野さんの思いです。
絵本の特徴
この絵本の最後には、支援してくれた「きょうだい児」当事者の方の名前を、ネコのモチーフで載せる予定です。
絵本を読み終えて、最後のページを開いたら、「1人じゃないよ」という文字と共に、たくさんの同じ境遇の人たちの名前が目に飛び込んでくる。
世の中には、同じように考えたり、悩んだりしている人がたくさんいる。
決して1人ではない。それが伝わるページを作りたいと思っています。
プロジェクトの意義
「ぼくだってとくべつ」プロジェクトは、見過ごされがちな「きょうだい児」の課題に光を当て、彼らに寄り添う素晴らしい取り組みです。
この絵本が、きょうだい児の皆さんに「自分だけじゃない」という気持ちを与え、少しでも寄り添うことができれば、それほど嬉しいことはありません。
プロジェクトの成功と、絵本が多くのきょうだい児の手に届くことを心からお祈りしています。
ぜひ、ご支援とご協力をお願いいたします。
きょうだい児の皆さん、あなたは決して1人ではありません。
あなたの気持ちを分かってくれる人がいます。
そして、あなただって特別な存在なのです。
この「ぼくだってとくべつ」プロジェクトが、少しでもきょうだい児の皆さんの心の支えになることを願っています。
ごきげんマッスル💪こたすけでした。